日本語の「透明」という言葉は、人や物の外見を述べる時に使われるだけでなく、物事が明確で理解しやすいことを言う時にも使われます。では、英語ではどうでしょうか。英語でもやはり同じように使えるのでしょうか。さまざまなケースにおける「透明」に一番ぴったりの言葉を、ひとつひとつ紹介し、解説していきたいと思います。
「透明」は英語で?
英語で「transparent」
これは「透明」を英語で表したい時に、最も適切で一般的な言葉です。物理的に空や水などが透き通ったさまを表したい場合はもちろん、例えば会計やお金の流れが明瞭で、報告がきちんとなされている場合など、ビジネス上の言葉としても用いることができます。
発音は「トランスペアレント」
ふたつの「a」の音に注意しよう
「trans」の「a」も「parent」の「a」も、日本語の「ア」と「エ」の間くらいの気持ちで発音しましょう。発音記号で表すと「æ」となります。ちょうど「a」と「e」が合体したような形をしていますよね。2番目の「a」にアクセントを置き、「親」を表す単語「parent」を「trans」に続けて発音するとうまくいきますよ。
半透明の場合は「translucent」
「transparent」と似た言葉に「translucent」という言葉があります。こちらは日本語では「半透明」で、光を通過させる点では両方同じですが、「translucent」の方が通過させる光の量が少なく、反対側のオブジェクトがはっきりしないと言う点で違いがあります。 ちょうどステンドグラスの窓はこれに相当します。
「透明」と混同する紛らわしい英語
スケルトンは英語?
透明で体の中が透けている生き物や、中が透けて見えるバッグなどを日本語では「スケルトン」と表現することがありますが、英語で「skelton」と言えば、あくまで「骨組み」や「骸骨」を意味します。ガラス張りの建物は骨組みが外から見えることから使われるようになっただけで「透明」という意味は持ちませんので、使用には注意してください。
クリアは英語?
本文透明のファイルを日本語では「クリアファイル」と言ったり、考えや計画がはっきりしていて迷いがない時に「クリアな状態」と言うことがありますが、これは英語でも同じです。「clear」には、「透明」という意味が含まれています。透明のファイルは英語で「clear file」あるいは「clear file folder」と表現できます。
「透明」に関する様々な英語表現
透明な水や海水を表す場合は「crystal clear」
「crystal」は「水晶」や「結晶」の意味で、無色で透明度が優れているものに対して使われる言葉です。これが「clear」に付くことによって、「clear」を強調して透明度をさらに高めているのですね。川の上流の一切の濁りのない水や、視界が開けて深いところまで水が澄み切った海の中の様子を表現する時に使われます。「crystal clear river」のように使います。
清々しい空気を表す場合は「crisp」
「crisp」は、例えば手が切れるほどシャープでパリッとした紙を形容する時に使われる言葉ですが、これを空気に対して使うと、「晴れた明るい日の、すがすがしく爽やかで、身が引き締まるような空気」と言った意味になります。「crisp and clear air」や「crisp and cool air」と慣用的に使われることもあります。
澄んだ空を表す場合は「pellucid」
「pellucid」はあまり聞き慣れない言葉かもわかりませんが、英語ではしばしば使われます。「ペルーシッド」と「u」にアクセントを置いて発音してください。晴れた日で、雲一つない空、新幹線から富士山がはっきり見えるような日の空を形容するのにぴったりの言葉で、「pellucid sky」のように言います。空以外にも澄み切った水を形容することもできます。
透明感のある声を表す場合は「angelic」
「angelic」は「angel」(天使)の形容詞です。透明感のある声を出す人のことを天使のようだと例える場合は「angelic voice」という英語表現が適切です。また、ウィーン少年合唱団のような高くて澄み切った美しい歌声なら「crystal voice」とも表現できますね。「crystal」は水晶を表しているので、声の透明度を強調したい場合に使用されます。
透明感のある人を表す場合は「serene」
「serene」には「静かで穏やか」という意味があるので、「serene person」で「透明感のある人」というニュアンスになります。冷静で、周りのごちゃごちゃしたことに一切関わらないで、いわば常に身辺整理ができている状態です。「r」の部分で舌を奥に下げて「セリーン」と発音しましょう。このほか、「untainted」(tainは汚れ、腐敗の意味で、unで打ち消し)や、「pure」(純粋な)を使うこともできます。
透け感のある服を表す場合は「see through」
「see through」は「~を通して見る」ことから、先にあるものが見える状態を示します。これが形容詞として使われて、「see through skirt」(シースルースカート)のように名詞を修飾することができます。ただ、完全な透明ではないので、置き換えるとすると「sheer」(とても薄い)などが適当です。
目に見えない透明人間を表す場合は「invisible」
「visible」は「見ることができる」という意味の単語ですが、接頭辞に「in」が付くことで反対の意味を示し、「目に見えない」と言う意味になります。「透明人間」という時の「透明」は、この言葉を使って表しましょう。米豪合作の映画「透明人間」の原題も「The Invisible Man」となっています。
まとめ
一般的なネイティブ表現は「transparent」
「transparent」は、物理的な透明度から、比喩としての透明感を広く表すことができる言葉です。「透明人間」など、明らかに別の単語を使うケースを除いては、どんな場合にも使って間違いになることはありません。日本語の「透明」の使い方とよく似ているので、日本語と同じ感覚で機会があれば、ぜひ使ってみてくださいね。