寝るときに欠かせない寝具のひとつである枕。布団とセットで買うことのできる枕は、その購入の手軽さや安価な商品が多いことから何気なしに手にしている方が多いのではないでしょうか。しかし、普段の睡眠の質を上げるためにも、枕選びは慎重に行うべきです。今回は「自分に合った正しい枕選び」をテーマに、快眠・安眠を得るための正しい寝姿勢を保つことのできる枕や、テンピュールなどの枕専門ブランドを一挙ご紹介。肩こりに悩んでいる方や、寝ても寝ても疲れが取れないと感じている方は、是非この記事を読んで睡眠の質の向上にお役立て下さいね。
自分に合った枕の特徴
安眠・快眠できる
自分に合った枕を使用する前と後では、睡眠の質がまるで違います。一概に睡眠の質を上げるのは枕だけとは言えません。枕と同じ寝具で重要な役割を果たす布団やマットレス、寝る前の行動や食事を摂るタイミングなど睡眠の質を改善する要因は様々です。しかし大きく生活リズムを変えるのは中々難しいもの。例えば自分の枕の高さをちょっと変えるだけで安眠・快眠に繋がるのであれば、試してみたいとは思いませんか?
肩こりにもならない
枕の高さや枕の硬さが適切でないと、睡眠不足とは別に肩こりや頭痛を引き起こすことがあります。目覚めた時に体の節々が痛かったり、朝寝違えたりするのは使用している枕が自分の頭にしっかりフィットしていないからです。自分に合った枕に変えることで肩こりや頭痛の心配がなくなりますよ。
枕の種類
高反発枕(硬めの枕)
高反発枕は硬い枕です。硬い枕というと悪い印象を抱く方も多いかと思いますが、厳密には適度な硬さでしっかりと人間の頭を支えてくれる枕のこと。枕の表面を手で押してみても、すぐに押し戻される跳ね返りが強いのが特徴です。反対に枕が柔らか過ぎると寝返りが打ちにくくなり、それは適切な寝姿勢とは言えません。
通常、人は一晩で20回以上寝返りを打つと言われています。寝返りの回数が減ってしまうとリンパの流れが滞り、肩こりの原因になります。起きている状態でも同じ姿勢を保つのは疲れますよね。睡眠時の体勢にも同じことが言えます。寝返りによって変化を付けることで、血行の流れを良くし、睡眠の質を改善できます。寝違えることが多かったり、肩こりに悩んでいる方は是非とも高反発枕を試してみて下さいね。
低反発枕(柔らかめの枕)
低反発枕は柔らかい枕です。アメリカの宇宙開発機関NASAが考案した吸収素材を使用したことで一世を風靡した枕は、今でも高い人気を誇っています。その特徴は深くまで枕の表面が沈み込み、人間の頭を優しく包み込んでくれること。柔らかくてフワフワの枕をイメージしている方は、低反発枕をおすすめします。
ただし沈み込みが大きく跳ね返りが弱いため、寝返りが打ちにくいというデメリットがあります。頭の大きさは大よそ体格の大きさに比例しますので、身長の高い方やガタイの良い方には低反発枕はあまり推奨できません。頭部の重さから枕の沈み込みが普通の人より激しいからです。小柄な女性にこそ低反発枕をおすすめします。
枕の素材
ラテックス(反発力に優れた硬めの中材)
ゴムの木から採れる白い樹液を加工した天然ゴムのことで、主に先ほど紹介した高反発枕に使用されている素材です。中には石油を原料とした合成のラテックスをベースに作られた枕もありますが、天然のものに比べ枕内で空気が循環しないため通気性が悪いです。100%天然のラテックスは製造過程で枕の中に空気を前もって含ませておきます。そのため中にできる気泡が空気の通り道となり、通気性に優れ蒸れにくいことから年中快適に枕を使用することが出来ます。高い反発力も枕の中で形成された、この空気の泡が関係していますよ。
また天然ゴムの割合が80%以下の合成ラテックスは、ゴムの臭い(新品のゴム手袋や車のタイヤなどから発する特有のにおい)がするケースがあります。しかし、よほど敏感な方(ゴムアレルギーの方など)でなければ気にならないレベルですので、それほど神経質になる必要はないでしょう。ラテックス素材は洗濯することが出来ませんが、通気性が良いので日干しだけで問題ないかと思います。また素材自体にも天然素材特有の抗菌作用があるのが特徴。衛生管理の厳しい医療用のゴム手袋などにもラテックス素材が使われているのはこのため。通気性が良く衛生面にも優れた硬めの枕を好む方に、ラテックス枕をおすすめします。
軟質ウレタンフォーム(頭の形にフィットする柔かい中材)
軟質ウレタンフォームは低反発枕に使用されている、やわらかいスポンジ状の素材です。耐圧分散効果に優れており、通常なら一点に集中する横になったときの圧力を負荷が掛からないよう分散させてくれます。頭から背中にかけて筋肉がこわばるのを防ぐため、頭痛や肩こりなどの予防にもなりますね。横たわる人の頭の形に合わせて柔軟に姿かたちを変えてくれるので、枕にフィット感を求めている方には大変おすすめです。
通気性があまりないので、夏の暑い時期にはあまりおすすめ出来ません。水洗いも不可ですので、枕カバーを装着するなどして直に頭をつけて寝るのは避けて下さいね。基本的に低反発枕のフォルムは谷型で、枕の中心にくぼみのある特殊な形状をしています。ですので別途カバーを購入する際は通常の枕カバーではなく、低反発まくら専用のピローケースを探してみて下さいね。
ポリエステル綿(ボリューム感のある枕の定番中材)
枕の定番素材で、比較的リーズナブルな枕に使用されています。ホテルでよく見かけるもこっと膨らんだ枕にポリエステル綿が使用されています。ニトリの枕で人気の「ホテルスタイル」にもポリエステルが使われていますね。弾力があるので、ふわふわした枕を探してる人はポリエステル綿の枕がおすすめ。クッションにも使用されている素材ですので、クッション性はもちろんボリューム感があります。
ただし使っていくにつれて弾力性を失うので交換目安は1~2年をみておくと良いでしょう。またポリエステル綿はダニが繁殖を好むため、定期的なメンテナンスが必要。丸洗いできる製品も数多く売られていますよ。またポリエステル綿を特殊加工し、デメリットを補ったコンフォロフト綿と粒わたという素材もありますよ。従来の素材と比べホコリがたまりやすいデメリットを改善、通気性が良くなっているのがコンフォロフト綿の枕。対して粒わたの枕はやわらかさが増して反発力を抑えています。
羽毛(高級感のあるふわっとしたシルエットを形成する中材)
羽毛と聞くと高級なイメージがありますよね。しかし羽毛が使われた枕でも価格は区々です。羽毛枕は水鳥から採取する羽根の部位によってダウンとフェザーに種類が分かれ、ダウンの割合が大きいほど高値で売られています。ダウンの特徴は頭を優しく包み込むようなふわふわした感触。綿とは異なる天然素材独自のふわふわ感は、柔らかい寝心地を好む方におすすめです。ただしダウンの割合が9割を超える高級枕の中には、低反発枕同様、反発力に欠けて使用して直ぐにぺったんこになってしまう枕もありますので注意してくださいね。
そこで丁度良い硬さの枕にするのがフェザーの役割です。フェザーは見た目もダウンより羽の原形(羽軸)を留めており、羽毛枕のサポート的な役割を果たします。中材のダウンにフェザーが合わさることで、天然素材の枕の中でも、より復元力の高い枕になります。しかしフェザーの割合が3~4割を超えるとゴツゴツとした表面の枕になってしまいますので、こちらも注意が必要。ダウンとフェザーの比率が8:2くらいだと丁度良い感触になるでしょう。素材表記の混用率でいうとダウン80%のフェザー20%です。また羽毛枕を酷使し過ぎると中材が枕の表面を突き破って飛び出してくるので、フェザーの羽軸の部分が繊維の隙間から出てきたら羽毛枕は買い替え時ですよ。
パイプ(通気性が良く手入れも簡単な中材)
ストローを細かく切ったような素材が枕の中に入っています。そのストローのような穴の開いた構造から通気性は抜群。またプラスチック製のため、天然素材と比較して長持ちし、虫も寄ってきません。水洗いもできるので衛生面でも優れている素材と言えるでしょう。価格も1,000円以下で購入できるパイプ枕が多く、まさにコスパ最強です。
デメリットはパイプの擦れる音がするということです。ガサガサとした音が耳障りに感じる方はパイプ枕は向いていません。またパイプの形状から中材が頭を置いたときにどちらか一方に偏りやすい点も念頭に置いておくべきでしょう。解決策としては中材のパイプの量を増やして安定感を保つ方法です。しかしあまりパイプの量を増やし過ぎると硬さが増して肩こりの原因になりますので注意してくださいね。補充できる中材付の枕も売られていますので、頭にフィットするようご自身で上手く調整すると良いでしょう。
そばがら(日本の気候に適した昔ながらの中材)
そばがらとは蕎から中の実を取り出して殻を乾燥させた素材のこと。古くから枕の代表的な中材として多くの人に親しまれてきました。今でも根強い人気を誇るその理由は、日本の気候にとても適した素材であるということ。高温多湿の日本で特に夏場は寝苦しい夜が続きますが、そばがらは吸湿性が高いのが特徴。睡眠時に掻く汗なども適度に吸収。余分な熱を逃がし、夏期も快適に使用することが出来ますよ。
ただし、いくら吸湿性が高く湿気の多い気候に適しているといえど、濡れた髪のままで寝るのは禁物です。中材が湿気ってしまい、メンテナンスの回数が増えてしまいます。お手入れ方法は洗うことが出来ないので基本的には日干し。間違っても布団たたきで枕を叩かないように。中身が割れてそば粉が零れてしまいます。加えてパイプ枕同様、流動性の高い素材なので、肩こりの原因にならないよう頭のフィット感をきちんと確かめてから購入することをおすすめします。
ビーズ(触り心地が非常に良い中材)
今現在ではクッションの中材としても使われており、非常に人気のある極小ビーズ。抱き枕としての用途であればビーズ特有の感触から癒しの効果を齎してくれます。しかし通常寝るときの枕としては他の素材に比べて変形しやすく、安定感に欠けるのであまり適していません。安定性が無いことは、寝ている間に誤って首を捻ってしまう危険性に繋がり、肩こりの原因にもなってしまいます。
もしもビーズの不思議な触り心地が好きで、癒し系グッズとして購入を検討されている方は、横向きで寝る専用の枕を選んでみて下さい。 横向き寝枕の形状は特殊なものが多く、ビーズ枕の不安定さを補ってくれる利点がありますよ。
枕の選び方
身体に合ったサイズの枕を選ぶ
肩こりを解消したいなら高すぎない枕を
枕が合わなくて肩こりに悩んでいる方は、たいてい枕が高い傾向にあります。頭の過度な傾きが筋肉を緊張させ、血行不良を起こしているからです。また無理な体勢は寝ている間に気道を圧迫し、いびきをかく原因にも繋がります。枕を敷いて仰向けに横になったときに、額から顎先にかけて5度の傾斜になると良いとされています。細かいなと感じた方は、起きている状態のまま背筋を伸ばしてピンと立った時の自分を思い浮かべてみてください。横向きに頭を枕につけたときに、背骨がまっすぐになり、直立の体勢が崩れない枕が、快眠できる理想の寝姿勢を保つ枕になります。
快眠のために横幅を広くとって寝返りを打ちやすく
睡眠中の寝返りは快眠のために必要不可欠な要素です。寝返りを打ったときに、枕からはみ出してしまっては安眠を保つことはできません。最低でも仰向けの状態から反転したときに、枕から頭がはみ出さない横幅の枕を選びましょう。枕の標準サイズは幅が約60cmですが、70cm程度の横幅の枕を選ぶことで、日本人の体格であれば男性も女性も理想の寝姿勢を保つことができるのではないでしょうか。
おすすめ枕の人気ブランド&メーカー
ニトリ
ホテルスタイル枕を中心としたリーズナブルでも機能的な枕が人気
ポリエステル枕や低反発枕など柔かい枕を中心としたラインナップなのがニトリ。メディアを通じて大人気となった「ホテルスタイル」は、低価格ながら高級ホテルにある枕ようなボリューム感たっぷりの寝心地が味わえます。また枕の形状がゴルフクラブのような抱き枕も販売しており、頭だけでなく腕や脚なども枕に寄りかかれることから、身体に負荷が掛かりやすい妊婦さんにもおすすめできる枕です。
西川産業(東京西川・京都西川)
自分の好みに合わせて枕の素材やかたさが選べる
東京西川の枕は基本的にオーダーメイド枕。専門家の視点も交えた自分ピッタリの枕を見つけることができますよ。自分好みの中材を選ぶことも可能。備長炭パイプは炭をパイプに練りこんでおり、消臭効果の見込める優れもの。またAiR(エアー)シリーズは、日本を代表するアスリートも使用する、人間の体のメカニズムに基づいた 機能性の高い枕です。
ロフテー(LOFTY)
一人ひとりに合った枕を提供する枕工房
累計販売数300万個を超える快眠枕を筆頭に、様々な睡眠の悩みを解決する機能性まくらを販売。5つのパーツが連結したユニット構造の枕で、各パーツで使用する中材や高さを変えることで、誰もが快眠を得られる枕の提供を実現しています。いびきを抑制し睡眠の質を改善できるボディピローなどもありますよ。
テンピュール(Tempur)
世界中に愛用者をもつ低反発枕のパイオニア
様々な人の寝姿勢に対応するため、奇抜な形状の枕をより多く取り揃えるテンピュール。テンピュール定番の形は波形の形状のオリジナルネックピロー。独自の形状から、仰向けでも横向き寝でも背骨がしっかりと伸びた理想の寝姿勢を保つことが出来ます。その他にも花形の枕や三日月型の枕など、あらゆる寝姿勢に対応できる枕が用意されていますよ。
シモンズ(Simmons)
品質にとことん拘った高級寝具ブランド
高いブランド力を持ち、高級ホテルなどに商品を納める寝具販売店。ベッドの製造・販売が主ですが、枕も高級ブランドの名に恥じない品質の高い商品を提供しています。DEEP SLEEP(ディープスリープ)は肩や首の形にフィットする中空構造になっており、安眠をサポートし深い眠りに誘います。またDOCTOR HARD(ドクターハード)はロフテーの枕工房と同じく頭部と首の部分で中材の部屋が分かれており、中のパイプが一方に偏らないよう工夫がなされています。
人気の枕おすすめランキング
肩こりにおすすめの快眠枕
ニトリ-ホテルスタイルまくら(1,990円)
ホテルにあるような上質な枕をリーズナブルな価格で
ニトリのホテルスタイルまくらシリーズにはいくつか種類があり、その中でもこちらは一番ベーシックなスタンダードタイプ。素材は100%ポリエステルで、ふんわり柔らかな感触が頭を包み込みます。またマイクロファイバーを使用しているので繊維が細く、手触りも抜群です。
マチがついているので型崩れしにくいのも特徴。安定感があるので良い寝姿勢を保つができ、肩こりの予防にもなります。枕の高さは約16cmと中くらいのサイズになるので、上体の高さと合う仰向けに寝る方におすすめ。カバーをつけない場合、枕の色はホワイトで汚れが多少目立ちますが、洗濯ネットを使用すれば洗濯機で洗うことができますよ。
東京西川-3Dピロー枕 AiR エアー(14,040円)
アスリートも使用する本格枕
アスリート仕様で特殊な形状をした枕。表面の波型のウレタンフォームは、通常の低反発枕のデメリットを補う構造をしており、枕の柔らかさだけでなく高弾性にも優れています。また波型の構造は頭と枕の接触面積を減らす効果もあるので、枕が蒸れにくく夏場も快適に使える仕様になっています。
また頭圧分散は血行促進をも促すため、肩こりになりにくいメリットもあります。温度変化にも強く、気温の変化の影響をさほど受けないため、使っていくうちに形が崩れるといった心配もあまり必要ないでしょう。睡眠の質が重視されるアスリート同様、睡眠の質を上げたい方におすすめの快眠枕です。
ロフテー-快眠枕(16,200円)
5つのユニット連結が頭から首までしっかり支える
羽根と二種類のパイプから好きな中材が選べるロフテーの快眠枕。枕カバーが2重構造になっているので、羽根素材を選んでも中身が出てくるリスクを軽減してます。弾力のある枕をお探しの方は、羽根素材の快眠枕をおすすめします。
パイプを中材に選んだ場合も、ロフテーの枕特有の5つの部屋に分かれた構造で、パイプが枕の中で偏ることなく寝姿勢をキープ。肩こりの心配もありません。パイプは二種類あり、剛炭パイプは枕に臭いがつくのを心配している方におすすめ。またエラスティックパイプは本来パイプ枕を使用する際に鳴る音を最小限に抑制するので、枕を清潔に保ちたいけれどパイプの擦れる音が気になる方におすすめします。
テンピュール-オリジナルネックピロー(17,280円)
独自のフォルムで人気を集めた低反発枕のスタンダードデザイン
波型の形状が特徴的な、テンピュールの低反発枕。その独自の形状から仰向けに寝ても横向きに寝ても背筋がまっすぐになるよう工夫がなされています。背骨が曲がることもないので、肩こりになりにくいのが特徴です。
また低反発枕の中でも少し硬めの大きいサイズを選ぶことで、寝返りが打ちやすく肩こり防止に繋がります。軟質ウレタンフォームを使用した低反発枕は基本的に洗えないので、テンピュールまくら専用のスムースピローケースを併せて購入するとメンテナンスが楽になり良いでしょう。
シモンズ-ビューティレストピロー(7,560円)
ポケットコイルを使用した枕
ベッドを中心とした寝具専門店ならではの、マットレスにもよく使われるポケットコイルを枕に使用。通気性が良くへたりにくいので、良い寝姿勢を維持できます。朝起きたときに寝違えたり、頭痛や肩こりに悩まされている方におすすめの枕です。
バネが上下に伸び縮みすることから通気性が良くなるポケットコイルは、経年劣化も防いでくれます。質の良い状態の枕を長く使い続けることができますよ。頭をコイルが点で支える、加重分散に優れた疲れにくい枕でもあります。
まとめ
如何だったでしょうか。睡眠時における枕の重要性は非常に高いです。枕専門店が色々なアイデアを駆使して一人ひとりに合った枕を提案していることからも、枕が睡眠の質を上げる大事な要素の一つであるということが分かるかと思います。枕の高さから枕の中身まで、今では自由に選ぶことができますよ。自分の環境と頭の形に合った枕を見つけて、自分だけのオーダーメイド枕で睡眠の質を改善してみてください。きっと安眠・快眠できることでしょう。